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villa U

villa U

location
Shizuoka, Japan
function
villa
size
523.90sqm
structure
reinforced concrete + steel
completion
in progress
 
credits:
 
architect
Satoshi Okada
project team
Daikichi Honma, Junpei Kizu,
Lisa Tomiyama
structural designer
Hirokazu Toki + S3 Associates Inc.
general contractor
Daido Kogyo co.
 
photo credit:
Hiroshi Ueda
 
 
 
 
 
villa U

カジキマグロを釣るのが趣味というクライアントが選んだ土地は,太平洋を見渡すことのできる山の天辺だった。2万坪の広大な敷地は,いただきのわずかな平場の残し海に向かって駆けおりる。周囲は雑木林が茫漠とひろがり敷地領域も判然としない。土地の境界をゆいいつ際立たせるものといえば山側をうねるように走る国道。そこをたまに往来する車のエンジン音が静寂を破り,ヘッドランプが闇を掻き乱す。

クライアントからは,この場所に週末住宅をつくり海や山の豊かな景色を愉しみたいという当然の要望のほかに,「存在としてタイムレスな建築をめざしてほしいという命題が与えられた。奇遇ではあるが,近年海外の複数のクライアントからも,まったく同じ命題で設計依頼が舞い込んでくる。“timelessness”を建築で表現するとはいったいどういうことなのか。国や文化など背景を異にする複数のクライアントと議論しているうちに,その種の建築には「いつになっても美しいという単純ではあるが解き明かすには難儀な品格(ディグニティ)が暗黙の条件として含まれていることがわかった。ここに設計した建築は,その命題に応えるべく提示したひとつの結果である。

広大な敷地で建設場所に選んだのは,平坦な地面が急に傾斜をはじめる稜線部分にあたる。あまりにも無防備でとりつくシマのない雑木林の海のなかに,大海原に向かって開く直径50メートルの円弧を描き,それを抱えるように一文字の建物を配置した。二層構成の建物の半分を稜線のエッジに差し込むことで,道路側からみえる建築部分は一層分として建物の存在感を林のなかに消した。円弧の壁を選んだ理由は,道路側から建物を見た場合,視線が漸次的に海に向かって逃げていく(つまり優しい表情を与える)からであり,囲われた壁の内側で暮らす人々に心理的安堵感を与えると同時に,道路側からの視線や騒音そして夜の人工的な閃光からも生活を守ることができると考えたからである。

 道路から続く車路はやがて地中にもぐり下階のガレージへといたる。そこから下階で建物内部に直結する動線と上階の囲われた庭を介してメインエントランスまで歩いて上がる動線を用意した(ゲストは外部の駐車スペースから直接ゲートをくぐれば同じルートに合流できる)。建物本体は下階に寝室を配置して海側にひろがる地面と連続させ,上階にはパブリックな空間要素を配置した。リビングとそれに連続するテラスからは太平洋を一望できるだけでなく,山側の囲われた庭も同時に愉しむことができる。下階のオーナーサイドの寝室領域は,山側に向かって斜面を形成し,そこに陽光を反射させることでより快適な地上階の空間づくりをめざした。

文:岡田哲史

 
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