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成城の家

成城の家

location
Tokyo, Japan
function
residence
size
223.45m²
structure
steel
completion
2012
 
credits:
 
architect
Satoshi Okada
project team
Kentaro Izumi, Lisa Tomiyama
structural designer
Takayuki Okamoto (bi FARM)
general contractor
Eiger Sangyo co., Takahashi Kogyo co.
 
 
photo credit:
 
 
 
 
 
 
House in Seijo

東京都内の閑静な住宅街にたつ専用住宅である。平坦な敷地は三方を隣家に囲まれ,北側に幅6.2メートルの前面道路が走る。依頼主の要望は,自家用車2台分のガレージ,ガレージに隣接する趣味室,できるかぎり大きな憩いの場,そしてガラスを多用したショールームのような美しい家を設計してほしいというものであった。

都市型住宅の設計は,建築基準法や条例等の社会的に遵守すべき規制が厳しければ厳しいほど建設可能領域はほぼオートマティックに決まる。敷地が整形の場合,土地によほど余裕がないかぎり建物も整形につくるほうが理にかなう。所与の領域容量内で空間の容量を最大にしたければ構造体の容量を最小にすることが望ましい。軟弱地盤にそもそも重たいコンクリート造は不経済。ましてや大きなスパンを飛ばすとなると天井懐が無駄になる。こうして鋼構造で軽やかにつくるという方向性が定まった。

House in Seijo

ところで鋼構造3階建てを軸組架構でふつうに計画するとなると,否が応でも大断面の柱梁が要請され眼にうるさい。ましてや都市型小住宅の住み手とって凸凹の構造要素は日常の掃除ひとつとっても煩わしい。そこで柱と梁を微分して壁や床に内包させ,ついでに断熱材も十分すぎるほど充填し,門型に構える要領で主体構造とした。結果として,RC造で計画した場合に比べ,壁厚の差分だけでもトータルで約6㎡の床面積をかせぎ,高さ方向も一切の無駄を排除した建物が実現した。ここまでがいわばオートマティックなソリューションの帰結である。

ここから先は依頼主の要望である“美しい家”をいかに追求するか,である。もともこもない話だが,ものの美しさの本質はプロポーションに深くかかわっている。それはバランス感覚に依拠しているため言語化は難しい。パラメータだらけのものの関係性のなかで臨機応変に調整の対応を迫られるデザインにそもそも定番然とした処方箋などあるはずもない。しかしそれは,そうであるがゆえに言語化可能ないかなる高尚な理論よりも遥かに魅力的なのだ。 建築のディテーリングは,かぎられた手駒で考え抜くことを要求される上手の仕舞は当然として,その沈黙のプロポーションとの密やかな格闘以外のなにものでもない。歴史から学び,ひとついえる確かなことは,その正解のない特殊な試行の連続が意外にも時間を超越して愛でられる建築(美)なるものの普遍性にコミットしてきたということ(ミースの魅力の核心はそこにある)。建築をつくることの愉しみは,そうした実践をつうじてしか肉薄できない謎解きにこそある。

 

 

文:岡田哲史(『新建築jt住宅特集』)

 

House in Seijo House in Seijo
 
 
publications
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